ヤマハピアノグレード9級をBコースで受験する場合、【聴奏(ちょうそう)】という項目のなかに【ハーモニー聴奏】があります。
メロディー聴奏はできるけれど、ハーモニー聴奏は苦手…
という生徒も実際に多いのですが、コツをつかんで対策すれば大丈夫ですよ!
この記事は
- ハーモニー聴奏のやり方を知りたい
- 9級のハーモニー聴奏のコツを知りたい
- 10級と9級のハーモニー聴奏の違いを知りたい
- 9級の出題傾向と対策方法を知りたい
- きちんと対策して9級受験に備えたい
- ハーモニー聴奏で良い点数を取りたい
という方におすすめです!
これまでの指導経験と出版されている練習問題をもとに、出題傾向を分析し、ピアノグレード9級の【ハーモニー聴奏】に必要な対策をまとめました。
一緒にがんばろう♪
\満点も夢じゃない!/
ピアノグレード9級:ハーモニー聴奏の出題範囲と試験の流れ
はじめに、ヤマハピアノ演奏グレード9級・聴奏の出題範囲を確認しましょう。
聴奏はBコースのみ
まず、【伴奏づけ】の項目はBコースで受験する場合のみ実施されます。
Aコースを受験する場合は、試験内容に含まれないため対策の必要はありません。
\コースの違いを理解しよう/
そもそも「聴奏」とは?
ヤマハのグレード要項には、ハーモニー聴奏について次のように記載されています。
聴奏とは聴いた音楽を演奏(再現)すること
聴いたメロディー・ハーモニーを再現できる力について判定
簡単にいうと、試験官の先生が弾いたものを、すぐに真似して弾けるかどうかということ。
なぜこの力が必要かというと、
普段曲を練習するときに「ただ楽譜の通りに弾く」だけでなく、メロディーの美しさやハーモニーの和声的な流れをしっかり耳に入れながら弾けるようになってほしい
という目的があるからです。
意味があったんだね
9級の聴奏は2種類ある
9級Bコースの聴奏は2種類あり、それぞれ次のようになっています。
- メロディー聴奏…メロディー(単旋律)の聴きとり
- ハーモニー聴奏…ハーモニー(和音とベース音)の聴きとり
この記事では「②ハーモニー聴奏」の対策についてご紹介しています。
\メロディー聴奏の対策はこちら/
ハーモニー聴奏の出題範囲
ピアノグレード9級:ハーモニー聴奏の出題範囲をまとめると、以下のようになります。
10級と比べて範囲が増えている部分にマーカーを引きました。
長さ | 要項に記載はありませんが問題集では5小節(5つの和音)程度 |
調 | ♯・♭1つまでの長調と短調(ホ短調を除く) (以下の5つの調) ハ長調 イ短調 ト長調 ヘ長調 ニ短調 |
和音 | Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅴ7 |
10級と比べると、調に二短調が追加されています。
また和音の種類も9級では
Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ, Ⅴ7
と増えていますね。
つまり、出題範囲になっている上記5つの調で、この4つの和音を練習しておく必要があります。
すでに10級を取得している方は、ニ短調のカデンツ練習やⅣ・Ⅴの和音の練習を重点的に対策しておきましょう!
ハーモニー聴奏の流れ
ハーモニー聴奏は、次のように実施されるようです。
特に9級が初めての受験となる場合は、流れをしっかり確認して臨みましょうね!
- 試験官が何調の問題か伝える
- 試験官が一度とおして演奏する(流れをよく聴いておく)
- 続いて試験官が弾いたものを真似して演奏する
大切なのは①で「何調の問題か」を聞き逃さないようにすること。
調さえわかれば、最初のポジションの準備ができます!
ちなみに受験した生徒の話では、③で5つ全部聴きとれなったとき、問題を半分にわけて演奏してくれたそうです。
この辺りは試験官が臨機応変に対応してくれるようなので、慌てないでよく聴いて弾きましょう。
試験中の注意点はのちほど詳しく!
受験要項はダウンロードして確認できる
受験内容、出題範囲、当日の流れなどは、ヤマハ音楽振興会のヤマハグレードサイトよりダウンロードして見ることができます。
販売されていないので注意!
\そもそも取る意味ってあるの?/
苦手をなくす!9級:ハーモニー聴奏に向けての事前対策
ここから受験する前に練習しておきたい、ハーモニー聴奏の対策法をご紹介します。
先ほどご紹介したグレード受験要項に掲載されている課題例や、出版されている練習問題から出題傾向を分析し、あらかじめ練習しておくと当日苦労しなくなるような練習法を考えました。
試験直前の詰め込んで練習するより、日頃からコツコツ取り組み、定着させておくと本番慌てずに済みますよ!
5つの調のカデンツ練習
なんといっても出題範囲となっている5つの調の両手カデンツを弾けなければ、ハーモニー聴奏ができません。
さらに、伴奏づけのカデンツと同じように、左手のベースラインが上がる形(上行形)と下がる形(下行形)どちらが出題されるかわからないため、どちらも練習しておく必要があります。
手になじむまで練習しよう♪
\必要なカデンツをすべて紹介/
ハーモニー進行のパターン練習
9級の出題範囲となっている
Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ, Ⅴ7
これらの和音をふくむハーモニー進行の練習が必要です。
問題集を分析すると、次の3つのパターンとなっていることがわかりました。
- Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ-Ⅴ7-Ⅰ
- Ⅰ-Ⅴ7-Ⅰ-Ⅳ-Ⅰ
- Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅴ7-Ⅰ
この3つのパターンを、左手のベース音が上行する形・下行する形でそれぞれ練習しておきましょう。
ⅣとⅤ7の聴き分け
クリックで拡大
ⅣとⅤ7がごちゃごちゃになる!
という生徒もいます。
この場合は、ドファラ(Ⅳ)とシファソ(Ⅴ7)の違いを聴きとる練習が必要です!
まず、「 ドミソ(Ⅰ)・シファソ(Ⅴ7)・ドミソ(Ⅰ)」の判別方法をご紹介しましょう。
「ドミソ・シファソ・ドミソ」という流れを弾いてみると、学校などで聴いたことがある「お辞儀」をするときのハーモニーの流れであることがわかります。
「 Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ」はお辞儀したくなる進行!
つぎに、「 ドミソ(Ⅰ)・ドファラ(Ⅳ)・ドミソ(Ⅰ)」の判別方法をご紹介しましょう。
「ドミソ・ドファラ・ドミソ」という流れを弾いてみると、「ドファラ」のところで背伸びしたくなりませんか?
上に引っ張られる感じに聴こえるはずです。
「 Ⅰ・Ⅳ・Ⅰ」は背伸びしたくなる進行!
つまり、まとめるとこのようになります。
- お辞儀したくなる進行ならⅤ7の和音(ハ長調ならシファソ)
- 背伸びしたくなる進行ならⅣの和音(ハ長調ならドファラ)
ハーモニーも正しい音程で歌いながら弾くことで、聴き分ける耳が育ってきます。
ⅤとⅤ7の聴き分け
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続いてのお悩みはこちら…
ⅤとⅤ7の違いがわからない…
「 シレソ(Ⅴ)」と「シファソ(Ⅴ7)」は音が一つしか違わないので、耳を澄ましてよく聴きましょう。
すると、次のように聴こえるはず。
- Ⅴの和音(ハ長調ならシレソ)はすっきり聴こえる
- Ⅴ7の和音(ハ長調ならシファソ)は少しにごって聴こえる
Ⅴ7の場合、ハ長調を例に挙げると右手が「シ・ファ・ソ」となるのですが、「ファ」と「ソ」は隣り合っているため、少しにごって聴こえます。
また問題集では
Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅴ7-Ⅰ
のように、Ⅴの和音を弾いたあとにⅤ7の和音がきていることがわかります。
似ている和音が2つ続いた気がする…
と思ったら、Ⅴ-Ⅴ7 の流れだと考えましょう。
ベース音(バス音)の上行・下行の判断
クリックで拡大
ハーモニー聴奏では、右手の和音だけでなく左手のベース音(バス音)の流れも聴かなくてはいけません。
- 開始音から次の音が上がっていたら上行形(黄色の矢印)
- 開始音から次の音が下がっていたら下行形(青色の矢印)
となります。
上行形と下行形、どちらも弾いてみると分かると思いますが、 下行形は低い音域まで下がるので「重い感じ」 に聴こえませんか?
「重い感じに聴こえるかどうか」を判断する材料にしましょう。
\下行形カデンツにも対応/
ハーモニーも歌いながら弾く
音感をつけるためには、正しい音程で自分が弾いている音を歌うのがおすすめです。
歌いながら弾くことで、自分が弾いている音と聴こえてくる音が徐々に一致するようになりますよ!
両手カデンツでハーモニーの練習をする際も、ぜひドレミで歌いながら弾いてみてください。
\絶対音感が付くのはいつまで?/
音感を育むアプリを使ってみる
絶対音感は幼少期からの訓練が必要ですが、相対音感なら訓練すれば手に入れることができますよ!
耳の力がつくとメロディー聴奏やハーモニー聴奏も楽になります。
音感はすぐには身につかないので、日頃からコツコツと音感を鍛えるアプリなどで訓練してみましょう。
\音感をたのしく鍛えよう/
練習問題を使って実践する
ヤマハから練習問題集が出版されているので、もし問題を演奏してくれる人がいるなら、こちらを使って練習してみましょう。
要項改定が行われた2019年以降の試験に対応している練習問題集を使用すると、問題の出題傾向・パターンが分かるはずです。
\ハーモニー聴奏を15題収録/
実際の試験や実践練習でのポイント
ここからは9級のハーモニー聴奏を練習する際や、試験本番で気を付けてほしいことをご紹介します。
何調の問題かを聞き逃さない
先ほど「ハーモニー聴奏の流れ」の項目でも触れましたが、試験官が最初に「何調の問題か」を教えてくれます。
調がわかれば、最初はⅠの和音からスタートするため、どのポジションに準備すればいいのか大体検討をつけることができます。
もし聞き逃した場合は、「何調か聞き逃したので、もう一度教えてください」と素直に試験官に伝えてみると、教えてくれるかもしれません。
開始音のポジションに注意する
ハーモニー聴奏の練習問題を見てみると、伴奏づけのカデンツ練習のポジションとは高さが異なる(1オクターブ高い場所から始まる)調があることがわかります。
次の調は伴奏づけのポジションよりも、1オクターブ高く出題されるようなので気を付けましょう!
ト長調
ヘ長調
イ短調
どの高さの音からスタートしているか、落ち着いてよく聴いてくださいね。
ベース音(バス音)の動きをよく聴く
左手で弾くベース音が、開始音からどのように動いているかをよく聴きましょう。
- 2つ目のハーモニーでベースが上がっている 左手は5の指からスタート
- 2つ目のハーモニーでベースが下がっている 左手は1の指からスタート
重い感じがするかで聴き分けよう!
\ こんな状況は危険 /
【9級】ハーモニー聴奏はカデンツ練習が重要!
9級のハーモニー聴奏は、5つの調の両手カデンツを日頃からどのくらい練習しているかが問われる項目です。
ハーモニーを聴きとれるようになると、楽曲を練習するときも伴奏の流れ・響きの変化などを楽しみながら演奏できるようになり、表現力も豊かになってくるでしょう。
また、両手カデンツの練習は、将来学校などでピアノ伴奏する際に必ず役に立ちますよ。
ぜひ、カデンツの練習をたくさんしてくださいね!
カデンツ練習は無駄じゃない♪
\必要なカデンツをすべて紹介/
\ 9級Bコースは他の項目もチェック/
この記事を書いた人
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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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