ヤマハピアノグレード8級をBコースで受験するとき、【伴奏づけ】という項目がありますが、対策は進んでいますか?
日頃カデンツの練習をしっかり行い、練習問題で対策しておけば高得点を取れる項目ですよ!
この記事は
- 8級の伴奏づけのコツを知りたい
- 9級と8級の伴奏づけの違いを知りたい
- 8級の出題傾向と対策方法を知りたい
- きちんと対策して8級受験に備えたい
- 伴奏づけで良い点数を取りたい
という方におすすめです!
これまでの指導経験と出版されている練習問題をもとに、出題傾向を分析し、ピアノグレード8級の【伴奏づけ】に必要な対策をまとめました。
オリジナルの課題例や実施例も作成しましたので、ぜひ参考にしてくださいね。

練習あるのみ♪
\満点も夢じゃない!/


ピアノグレード8級:伴奏づけの出題範囲と試験の流れ


まず、【伴奏づけ】の項目はBコースで受験する場合のみ実施されます。
Aコースを受験する場合は、試験内容に含まれないため対策の必要はありません。
\コースの違いを理解しよう/


そもそも「伴奏づけ」とは?
ヤマハのグレード要項には、伴奏づけについて次のように記載されています。
メロディーに対し適切な調・和音がわかる力
メロディーに合う伴奏を流れの中で演奏できる力
これらができているのかを判定するのが、伴奏づけの項目です。
伴奏づけの出題範囲
ピアノグレード8級:伴奏づけの出題範囲をまとめると、以下のようになります。
9級と比べて範囲が増えている部分にマーカーを引きました。
長さ | 8小節程度 |
調 | ♯・♭1つまでの長調と短調 (以下の6つの調) ハ長調 イ短調 ト長調 ホ短調 ヘ長調 ニ短調 |
拍子 | 4分の4拍子 4分の3拍子 4分の2拍子 8分の6拍子 |
和音 | Ⅰ,Ⅳ,Ⅴ7,Ⅰの2転 |
9級と比べると、調にホ短調、拍子に4分の2拍子と8分の6拍子が追加されていることが分かりますね。
また使用される和音ですが、要項にはほかも和音も範囲として記載されていますが、練習問題を見る限り、伴奏づけで対策が必要なのは、
各調のⅠの2転⇒Ⅴ7
が弾けるかどうかです。
また、9級と大きく異なるのは、
ガイドとなる左手のベース音(バス音)が問題に書かれていない
という点です。
つまり、和音を探すヒントがないため、すべて自分の力で試験官が弾くメロディーに合う響きを探さなくてはいけません。



なんだか難しそう…
\ローマ数字の意味がわからないなら/


伴奏づけの流れ
伴奏づけは、次のように実施されるようです。
- 試験官が課題の楽譜を提示する
- 試験官がメロディーを一度通して弾く(このとき和音を考えながら聴く)
- 試験官の弾くメロディーに合わせて和音づけする(和音をのばして弾く)
- 続けて伴奏の形で演奏する(伴奏形で弾く)
ここで注意することは、
試験官は何調か、何拍子かを教えてくれない
という点です。
楽譜を提示された時点で、自力で調判定と拍子の把握ができないといけません。
また、和音を弾く際は最初はのばして弾きますが、次に伴奏の形を変えて弾くことになるため、9級で練習した4拍子と3拍子の伴奏形の練習のほか、8級から新しく加わった4分の2拍子と8分の6拍子の伴奏形の練習も必要になります。



後ほど詳しく解説するね!
受験要項はダウンロードして確認できる
受験内容、出題範囲、当日の流れなどは、ヤマハ音楽振興会のヤマハグレードサイトよりダウンロードして見ることができます。



確認できるようにDLしておこう♪
\そもそも取る意味ってあるの?/


苦手をなくす!8級:伴奏づけに向けての事前対策


ここから受験する前に取り組んでおきたい伴奏づけの対策法をご紹介します。
先ほどご紹介したグレード受験要項に掲載されている課題例や、出版されている練習問題から出題傾向を分析し、あらかじめ練習しておくと当日苦労しなくなるような練習法を考えました。
試験直前の詰め込み学習よりも、普段のレッスンや家庭での練習で少しずつ取り組み、しっかりと定着するようにしましょう。
6つの調のカデンツ練習
なにはともあれ、出題範囲となっている6つの調の両手カデンツを弾けなければ伴奏づけができません。
ここで朗報です!
先ほどもご紹介したように、8級ではガイドとなる左手のベース音がなくなります。
つまり、8級で伴奏づけする場合は、左手のベースラインが上がる形(上行形)と下がる形(下行形)、どちらか得意な方で弾ければOKなのです。



じゃあ僕は上行形で!
\必要なカデンツはこちら/


\ハーモニー聴奏も対策しておこう/




Ⅰの2転⇒Ⅴ7⇒Ⅰの終止形をとにかく練習する
8級の伴奏づけでは
Ⅰの2転⇒Ⅴ7⇒Ⅰの終止形を正しく弾けるか
が最も重要なポイントとなります。
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練習問題を何度も取り組むと分かりますが、ラストは必ずといっていいほど上記のパターンが当てはまります。



終わり方が大事なんだね!
4種類の拍子での伴奏形の練習
まず8級で出題される拍子を確認しましょう。
伴奏づけも、次の4つの拍子から出題されます。
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両手カデンツの練習をする際は、ただのばして弾くだけではなく、
- 4分の4拍子の伴奏形
- 4分の3拍子の伴奏形
- 4分の2拍子の伴奏形
- 8分の6拍子の伴奏形
それぞれの拍子で、まずは基本的なパターンを練習しておきましょう。
特に4分の2拍子の伴奏形と8分の6拍子の伴奏形は8級で新たに加わるため、慣れが必要です。
余裕があれば、基本的なパターン以外の伴奏形も練習してみるといいですね。
このあと、次のような伴奏形をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 基本のパターン
- 元気な(はずむ)かんじのメロディーに合う伴奏形
- きれいな(なめらかな・やさしい)かんじのメロディーに合う伴奏形
特に曲の最後できちんと止まれるか、終わり方を確認しておきましょう。
4分の4拍子の伴奏形
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4分の3拍子の伴奏形
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4分の2拍子の伴奏形
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8分の6拍子の伴奏形
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8分の6拍子の「元気なかんじ②」は、なめらかに演奏すれば「きれいなかんじ」にも使えます。



まず基本パターンをマスターしよう
メロディーに合う和音を探す練習
8級ではガイドとなる左手のベース音がなくなるため、
調判定
メロディーに合う和音づけ
これらを自力でできるようにしておかなければいけません。
何調の問題かを判断する方法は、のちほど詳しく解説します。
ここでは、メロディーに合う和音の探し方のヒントをご紹介しましょう。
その調のカデンツに含まれる音がメロディー内にたくさんあるものを選ぶ
これがポイントです!
例を2つ挙げますので、確認してみましょう。
画像内の緑のマーカーは、和音に含まれている音とメロディーの音が同じものです。
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どの和音がぴったり合うか分かるようになるまでは、慣れも必要です。



実際に弾いてみるとわかるよ♪
1段目はⅠ・Ⅳ・Ⅴ7のどれか
8級の伴奏づけでは、1段目はⅠ・Ⅳ・Ⅴ7のどれかが当てはまります。
問題集のパターンで多かったのは
- Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7・Ⅰ
- Ⅰ・Ⅴ7・Ⅴ7・Ⅰ
この流れです!
Ⅰ・Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ の流れも1題だけありました。
2段目はパターンを当てはめればOK
問題集では、2段目の流れは1題を除いてすべて同じになっていました。
次のパターンを当てはめれば、楽々クリアできます!
Ⅰ・Ⅳ・Ⅰの2転⇒Ⅴ7・Ⅰ
2段目はひっかけ問題に注意!
私が作成した次の課題例を見てください。
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大体の問題の2段目は先ほどご紹介した
Ⅰ・Ⅳ・Ⅰの2転⇒Ⅴ7・Ⅰ
のパターンを当てはめればOKなのですが、上記画像のように
Ⅰの2転が入らず Ⅴ7だけ入るパターン
となる課題が問題集に1題掲載されていました。
この場合はメロディーをよく聴く(または楽譜を読んで判断する)必要があるので、ひっかからないように気を付けましょう!
\覚えておきたいパターンを紹介/


練習問題を使って実践する
ヤマハから練習問題集が出版されていますので、こちらを使って練習してみるのも効果的です。
要項改定が行われた2019年以降の試験に対応している練習問題集を使用すると、問題の傾向・パターンが分かりますよ。
\Bコースは伴奏づけを16題収録/
実際の試験や実践練習でのポイント


ここからは8級の伴奏づけを練習する際や、試験本番で気を付けてほしいことをご紹介します。
まず、私が作成した8級レベルの伴奏づけ例①②をご覧ください。
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これらの実施例をもとに、気を付けることをまとめます。
調・調号・拍子の確認をする
楽譜を渡されて、はじめにやるべきことは「調・調号・拍子」の確認です。
調の確認方法
何調かを確認する場合は、楽譜の一番最後の音を見てください。
さらに8級の出題範囲が#・♭1つまでの長調・短調となっているため、最低限、最後の音さえ分かれば調判定ができます。
最後の音 | 調号 | 調 |
---|---|---|
ド | なし | ハ長調 |
ラ | なし | イ短調 |
ソ | #1つ(ファ) | ト長調 |
ミ | #1つ(ファ) | ホ短調 |
ファ | ♭1つ(シ) | ヘ長調 |
レ | ♭1つ(シ) | ニ短調 |
調号の確認方法
上の表でもお分かりのように、8級は#・♭1つまでの長調・短調が出るため、次の調の場合は調号(ト音記号やヘ音記号のすぐ隣についている#・♭のこと)が付きます。
- ト長調・ホ短調 は ファ♯
- ヘ長調・ニ短調 は シ♭
普段から6つの調の両手カデンツを練習していれば、調号を落とすことは無いはずです。



繰り返しの練習が必要だね♪
拍子の確認方法
拍子は楽譜の最初に必ず書かれています。
8級の伴奏づけでは
- 4分の4拍子
- 4分の3拍子
- 4分の2拍子
- 8分の6拍子
この4つの拍子が出題されます。
拍子をきちんと確認しておかないと、
3拍子の問題なのに4拍のばして弾き、試験官のメロディーと縦が合わずバラバラになってしまう
ということが起きてしまうため、注意が必要です。
⓵のばして弾く
伴奏づけでは、はじめにのばした形で弾くので
- 4分の4拍子…「1・2・3・4」と4拍数えながら弾く
- 4分の3拍子…「1・2・3」と3拍数えながら弾く
- 4分の2拍子…「1・2」or「1 と 2 と」と2拍数えながら弾く
- 8分の6拍子…「①・2・3・②・2・3」と大きな2拍子で6拍分数えながら弾く
このような点を意識しましょう。



8分の6拍子は要注意!
②伴奏形で弾く
のばして通すことができたら、次は伴奏形で弾くことになります。
すべての拍子において、最低限基本的なパターンを練習しておき、余裕があればさまざまなパターンを練習します。
曲想に合わせて、伴奏形を変えられれば評価もアップするはず!
\上に戻って確認/
メロディーが元気な感じなら…元気な伴奏形
メロディーがやさしい感じなら…きれいな(やさしい感じの)伴奏形
伴奏形で弾くときは、最後の部分をしっかり止まれるように練習しておくことが大切です。
流れを止めないことを意識する
流れを止めないことは、伴奏づけに限らず、すべての項目に共通して意識したいポイントです。
特に伴奏づけは一人で弾くのではなく、メロディーを試験官が担当します。
メロディーと伴奏がそろって弾けているか
が審査のポイントにもなるため、試験官が弾くメロディーに頑張って食らいついていきましょう!



絶対止まらないぞ!
多少のミスを気にしない
間違ってしまうと弾き直したくなるかもしれませんが、弾き直すことで流れが停滞してしまいます。
またメロディーを担当する試験官との呼吸も乱れてることにより、印象が悪くなってしまうことも…。
多少のミスは気にせず、流れの中で修正できるようにしましょう。



流れを止めない♪
メロディーと伴奏のバランスに気を付ける
余裕があれば意識してほしいのが、試験官が弾くメロディーの音量よりも伴奏が大きくならないようバランスに配慮することです。
ソロの演奏でも同じことが言えますが、メロディーより伴奏の音量が大きいと、一番聴こえてほしいメロディーがかき消されてしまいます。
伴奏づけは、いわば試験官とのアンサンブルです。
弾きながら試験官の弾くメロディーがきちんと聴こえているかを、耳を使いながら伴奏づけができたら、きっと高得点につながるはず!
\ こんな状況は危険 /


【8級】伴奏づけは終止形の練習を念入りに!


8級の伴奏づけは、6つの調のカデンツの特に「Ⅰの2転⇒Ⅴ7⇒Ⅰの終止形」を重点的に練習しておくことが高得点へのカギとなります。
1小節に和音が2つ入るこの部分を、出題範囲となっている拍子の伴奏形でしっかり弾けようになるまで練習しましょうね!
この点さえ対策できれば、比較的高得点が出やすい項目です。
もし初見演奏や聴奏などに不安がある方は、伴奏づけで少しでも点数を稼げるように頑張ってくださいね!
\8級をまとめて攻略/


\ 8級Bコースは他の項目もチェック/








この記事を書いた人


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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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