音楽を学んでいると、メヌエットやタランテラなど同じ名前の付いた作品に出会いますよね!
バルカローレ(バルカロール)もその一つで、いくつもの作品があります。
ではバルカローレとは、一体どのような曲を意味するのでしょうか?
この記事は
- バルカローレの意味を知りたい人
- 今バルカローレを練習している人、これから練習する人
- バルカローレの曲の作り方について勉強したい人
におすすめです!
バルカローレがどんな内容かを知ったうえで演奏すれば、曲への理解や表現がさらに高まるはず!
演奏するうえでのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
すてきな曲がいっぱいあるよ♪
バルカローレとは「舟歌」のこと
バルカローレは音楽のジャンルの一つで、性格的小品の一つに位置付けられています。
性格的小品???
ちょっと難しい言葉ですが、ある情景・情感や性格をイメージした作品のことを性格的小品といいます。
性格的小品=キャラクターピース
そして、バルカローレは舟(ゴンドラ)をこぐ際にくちずさむ歌という意味で日本の楽譜では「舟歌」と表記されることもあります。
まずは有名なバルカローレの作品や言葉の意味などをみていきましょう!
あなたは知ってる?有名なバルカローレ
バルカローレというと、どの作曲家の曲をイメージしますか?
有名なところでいうと
ブルグミュラーの「バルカロール(舟歌)」
ショパンの「バルカローレ(舟歌)」
などがありますね。
どんな曲かちょっと聴いてみよう♫
このほかにも「バルカローレ」というタイトルが付いた作品はたくさんあります。
\ 他の作品も聴いてみてね /
バルカローレの定義
バルカローレがどのようなスタイルかをまとめると、次のようになります。
- 8分の6拍子、または8分の12拍子
- 波が揺れるように大きな2拍子として感じることができる
- ピアノ曲の場合は左手は波で舟が揺れる様子、右手は船頭さんが口ずさむメロディーとなっていることが多い
ユラユラとした波に舟が揺れる様子、船頭さんが歌いながら舟をこぐ様子などから「舟歌」とも呼ばれています。
バルカローレのテンポや雰囲気の感じ方
曲によってさまざまなテンポ指示があると思いますが、バルカローレは船頭さんがオールで舟をこぎながら歌う曲なので、ゆったりしたイメージですが、あまり遅すぎると舟が前に進みません・・・
遅すぎると目的地にたどり着けない!
もし手漕ぎボートなどに乗ったことがある方は、気持ちよく舟を進めるためにはどのくらいの速さでオールをこげばいいのかを思い出してみてください。
テンポ表記は付点4分音符(8分音符が3つ分)で●●となっていることが多いので、波がゆれる大きな一拍分がそのテンポになります。
8分音符一つあたりのテンポではないので、解釈に気をつけましょう!
実際に舟(ボートやカヌーなど)をこぐ体験をするのもおすすめ♫
またメロディーはどこか哀愁ただようもの、メランコリックなものが多いので、しっかり気持ちを込めて演奏しましょう!
バルカローレ・バルカロール・バルカローラは同じ意味
のちほど語源についてはくわしく解説しますが、クラシック界でのバルカローレはイタリアのゴンドラこぎに由来します。
・イタリア語で「barcarole」バルカローレ、「barcarola」バルカローラ
・フランス語で 「barcarolle」バルカロール
国によってつづりと発音が若干違いますが、意味するものは全部同じです。
ちなみにイタリア語のbarcarola(バルカローラ)は、複数形になるとbarcarole(バルカローレ)になります。
日本では「バルカローレ」や「バルカロール」が耳なじみがありますね!
barca(バルカ)はイタリア語で小舟・ボートを意味するよ
バルカローレの由来・起源
続いて、バルカローレの由来や起源についてみていきましょう!
barcaはエジプト語に由来する
先ほども触れたとおり、「barca」はイタリア語で「小舟」のことですが、もともとこの言葉は古代エジプト語の「bꜣjr(バイル)」に由来しているといわれています。
「bꜣjr」とは「輸送船」という意味
クラシック界では「ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌」に由来
冒頭でもふれましたが、バルカローレは「ゴンドラ漕ぎの歌」と呼ばれることからもわかるように、水の都としても有名なイタリアのヴェネツィアのゴンドラをこぐ際に船頭さんが歌っていた曲がルーツです。
メンデルスゾーンやショパンで有名に
バルカローレはもともと船頭さんが歌っていたものですが、クラシック界でメジャーになったのはロマン派の時代になってから・・・
オペラ作品のなかで取り入れられるようになり、その後メンデルスゾーンやショパン、フォーレなどが作曲したことによって性格的小品の一つとして位置づけられるようになりました。
チャイコフスキーもピアノ作品:組曲「四季」のなかで「舟歌」を作曲しています。
舟歌・バルカローレ以外のタイトルがついていることも
ちなみにメンデルスゾーンの無言歌に含まれる「ヴェネツィアの舟歌」は
- ベニスの舟歌
- ベニスのゴンドラの歌
- ヴェネツィアのゴンドラの歌
などといろいろなタイトルで曲集に掲載されています。
ブルグミュラー18の練習曲に含まれる「ゴンドラの船頭歌」も「ゴンドリエ(船頭さんのこと)の歌」と呼ばれることもあり、バルカローレとは記載されていませんが舟歌(バルカローレ)の一つです。
労働歌・仕事歌としての舟唄とは別物
舟歌は舟唄とも書かれることがあります。
舟歌と呼ばれるものはさまざまあって、そのすべてがここまでご紹介してきたクラッシックの「バルカローレ」かというと、そうではないものもあるため分けて考える必要があります。
ここからご紹介するものは、クラシックの「バルカローレ」には当てはまりませんので気をつけましょう!
日本民謡の舟唄
日本で和舟をこぐときに歌われていた曲も舟唄と呼ばれます。
いわゆる労働歌・仕事歌というもので、「さあ、いくぞ!」「頑張って働こう~!」のような気合?が込められた歌です。
日本三大舟唄より「最上川舟唄」
では実際に日本三大舟唄といわれるもののなかから、最上川舟唄を聴いてみましょう!
民謡なので、手拍子が合いますね。
「あ、どっこい」「あ、よいしょ」などの合いの手を入れたくなる感じです。
この動画を見るとクラシックのバルカローレと、まったく違うことがわかるはず。
ロシア民謡の舟唄
ロシアにも船頭さんが労働歌として歌っていた舟唄があります。
ヴォルガ川の舟引きのかけ声が歌になったのものなのだとか・・・
ヴォルガの舟唄
ロシア民謡「ヴォルガの舟唄」は、日本でもカバーされているためどこかで耳にしたことがある人もいるかもしれません。
こちらもクラシックのバルカローレとはジャンルが異なります。
バルカローレと同じ「舟歌」と呼ばれるものですが、これらの労働歌としての舟唄はメロディーの歌い方や拍子、曲調などまったく違いますね。
バルカローレとはまったくの別物!
バルカローレのイメージをしっかり持って演奏しよう!
バルカローレの定義や由来についてご紹介しましたが、どんなイメージを持って演奏したらいいか分かりましたか?
- ユラユラと波に舟が揺れる様子
- 船頭さんが歌うメランコリックなメロディーは気持ちをしっかり込める
- ゆったりと、でも遅すぎてもNG!
イメージするものは、最後にご紹介した日本・ロシアの労働歌としてのエンヤコラ的な船頭さんではなく、ヨーロッパの地中海や運河などを優雅に進む「ボンジョルノ~!」と声をかけてくれそうな船頭さんの歌です。
イタリアに行けたらいいのに・・・
という方は、YouTubeでヴェネツィアの様子を見たり、東京ディズニーシーの「ヴェネツィアン・ゴンドラ」に乗ってみたりするのもおすすめ。
\ ディズニーシーを満喫しよう♪ /
しっかりとイメージを持って演奏することで、表現も豊かになりますよ!
いろいろなバルカローレを聴いてみてね♫
\ すてきな作品がいっぱい /
\ 拍子&ゆったりなイメージが共通/
\ 同じ8分の6拍子だけど全然ちがう! /
この記事を書いた人
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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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