ピアノ曲にはさまざまな舞曲がありますが、拍子やテンポの違い、発祥地、時代よって舞曲の名前も異なります。
今回は ピアノを習っている人なら1度は弾いたことがあると思われる「タランテラ」 という舞曲について取り上げます。
この記事は
- タランテラの意味を知りたい人
- 今タランテラを練習している人、これから練習する人
- タランテラの曲の作り方について勉強したい人
タランテラがどんな踊りかを知ったうえで演奏すれば、曲への理解や表現がさらに深まるはず!
演奏するうえでのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ステップ踏みたくなる曲だよ♪
タランテラはリズムが特徴的なテンポの速い舞曲
ピアノを習っているといろいろな舞曲を弾く機会がありますね。そのなかでも「タランテラ」という舞曲は、メジャーなものに分類されると思います。
タランテラは民族舞曲の一つに分類されます。
まずは有名なタランテラの作品や言葉の意味などをみていきましょう!
あなたは知ってる?有名なタランテラ
いろいろな作曲家がタランテラを作曲していますが、有名なピアノ作品では
ブルグミュラー「25の練習曲」のなかのタランテラ
ギロック「こどものためのアルバム」のなかのタランテラ
ショパンの「タランテラ」
が挙げられるのではないでしょうか。
ちょっと聴いてみよう!
リズムが特徴的で、軽やかにステップを踏みたくなる感じなのがお分かりいただけたのではないでしょうか?
このほかにも「タランテラ」というタイトルが付いた作品はたくさんありますよ!
\ いろいろ聴いてみよう /
タランテラとは?
タランテラがどのようなスタイルの舞曲かをまとめると、次のようになります。
- 8分の3拍子または8分の6拍子のテンポの速い民族舞曲
- 「♪タッカ タッカ 」「♪タカタ タカタ」などリズムに特徴がある
- 短調の作品が多い
雰囲気の感じ方
タランテラは軽快なリズムが特徴的なので、激しさも感じつつ躍動的なイメージで演奏します。
短調の曲が多くテンポが速いこともあり、なにかが迫ってくるような、追い込んでいくような鬼気迫る印象も受けますね。
またテンポは急速または速く演奏するように指示されているので、規則的なリズムで指が転ばないように気をつけないといけません。
拍の感じ方
テンポが数字で支持されている場合は、付点四分音符一つあたり●●と記載されること一般的なので、
8分の6拍子なら大きな2拍子
8分の3拍子なら大きな1拍子
と捉えて拍子感を出せるようにしましょう。
8分音符一つあたりのテンポではなく付点四分音符一つあたりのテンポ表記なので、解釈に気をつけてくださいね!
テンポが違うだけで全然違った曲になっちゃう!
タランテラもタランテッラも意味は同じ
のちほど語源についてはくわしく解説しますが、発祥はイタリアのナポリとされていることから、つづりは
イタリア語で「tarantella」
となります。
「タランテラ」「タランテッラ」どちらも同じ意味で、Lが二つ重なるところ「lla」を発音するかの違いだけです。
モッツアレラ~みたいに「lla」のあたりでイタリアを連想しよう
タランテラの由来・起源
続いて、タランテラの由来や起源についてみていきましょう!
タランテラの由来
タランテラの由来には諸説あるそうです。
- タラントという南イタリアにある街の名前からつけられた説
- 毒グモ(タランチュラ tarantula)に噛まれ、体内の毒を抜くために踊りつづけた舞曲だったからという説
- 毒グモに刺されたことで、苦しさから狂ったように踊り、やがて死んでしまった様子を表現したという説
タラントという街は南イタリアにあるキレイな港町です。
この街には毒グモの伝説があるそうで、タランチュラに噛まれると「タランティズム」という病気になるといわれていました。
毒が体に回って死に至らないために「タランテラを踊りつづけなければいけない」という言い伝えがあったそうです。
このような治療法は「舞踏療法」と呼ばれていました。
実際に噛まれてタランティズムにかかってしまった人もいたそうですが、その毒は大したものではないのだとか・・・。
鬼気迫る感じがするのは、どこかで「死」も意識しているのかもしれません。
死なないために踊り続ける!
タランテラができるまで
タランテラができたのは中世といわれています。
タランティズムになってしまった患者がいたという記録は16世紀~17世紀にあるのだそう。
今でこそ、曲をきけば「これはタランテラだ!」という特徴がありますが、このスタイルになるまではいろいろなリズムのタランテラが作られていました。
具体的には19世紀以降に芸術音楽として認められ、人々に好まれるようになったといわれています。
タランテラを踊っている様子を見てみよう
ここまでいろいろと説明してきましたが、タランテラがどんな踊りかは、実際に映像を見てもらった方が分かりやすいと思います。
いくつか動画を見てみましょう!
ナポリでは求愛の踊りとされる
タランテラは男女ペアまたは女性ペアで踊られることが多い踊りですが、イタリアのナポリでは集団で長時間にわたって踊る求愛の舞曲なのだとか・・・
テンポが速いのでついていくのが大変な踊りですね。
実際にタランテラを踊っている動画を見てみましょう。
こちらの動画はタランテラとイタリア民謡「フニクリ・フニクラ」を踊っている様子です。
男性がタンバリン、女性がスズを持っていますね。
こちらは大人数で踊っています。
手をつないで輪になってグルグルと踊ったり、列を作ってステップを踏んだりしていますね。
スタミナが必要な踊りだね!
長調のタランテラも発見!
タランテラというと短調の曲が多いイメージでしたが、こちらの動画は長調のタランテラです。
毒グモなんかイメージできないくらい陽気な踊りですね!
バレエ音楽にも使われている
こちらは有名なバレエ振付師バランシンが振付をしたタランテラで、ルイス・モロー・ゴットシャルクというアメリカの作曲家の作品です。
バレエとなると踊り方も優雅になりますね。
男女のかけあいや、タンバリンを使うあたりが民族舞曲としてのタランテラを意識して作られたのではないかと思われます。
\ いろいろ聴いてみよう /
タランテラのイメージをしっかり持って演奏しよう!
タランテラの定義や由来をご紹介しました。
タランテラは中世から伝わる民族舞曲で、人気が出てからはバレエ音楽にも取り入れられています。
- イタリア発祥の民族舞曲
- 8分の6拍子・8分の3拍子で急速なテンポ設定
- 毒グモのタランチュラに由来される説がある
スタイルの由来や実際のダンスを知って演奏すると、曲の解釈や演奏の仕方に活かされます!
\ 同じ8分の6拍子だけど全然ちがう! /
この記事を書いた人
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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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