ピアノのレッスンに通っている生徒や子どもが、習っている曲を速く弾いてしまったり、楽譜に書かれているテンポを完全に無視したりしている…という経験はありませんか?
まずは、どうして速く弾いてしまうのか、テンポ指示を無視してしまうのか、その原因を究明してから対処していくことが大切です。
この記事は生徒またはお子さんが
- 速いテンポで弾くのを止めたい
- 速く弾いてしまうときの対処法を知りたい
- 一定のテンポで弾くこと(等速感)の大切さを教えたい
- 楽譜に書いてある速さで弾かないときの具体的な指導法が分からない
という先生・保護者の方におすすめです!
今回はそのような生徒に対して、どのように指導すれば安定したテンポで弾き通せるようになるのか、指導歴20年以上の経験をもとに私が行っている指導法をいくつかご紹介します。
安定した速さで弾いてほしい♪
原因を究明し気持ちに寄り添うことが大切
子どもが習っている曲を速く弾きたくなる心理は分かります。
私も幼少期、できるようになった曲はとにかく速く弾きたくて仕方がなかったものです。
しかし指導する立場になって、「それではいけない」ということをどのように子どもに伝えればいいのかを考えないといけなくなりました。
むやみやたらに速いテンポで弾かないようにするためには、どのような対策をしていけばいいのでしょう?
速弾きする・テンポ通り弾かない原因を探ろう
まず指導する際に考えなくてはいけないのが
なぜそのように弾いてしまうのか
生徒自身の理由や原因を探ることです。
それが分かれば、対処法も考えることができますよね!
\こちらで原因を探してみて/
一緒に原因を考えてみよう
もしかすると生徒自身が
- なぜ速く弾いてしまうのか
- なぜテンポ指示を無視してしまうのか
分かっていなかったり、自分の言葉で説明できなかったりすることももちろんあるでしょう。
そのときは一緒に原因を考えられるように、
- 速く弾けるとかっこいいからかな?
- 高速で弾くと気持ちがスッキリするからかな?
など、答えやすい質問に変えて先生が導いてくださいね。
原因が分かったら共感してあげよう
原因が判明したら、頭ごなしに否定せず、まず生徒の気持ちに共感してあげましょう。
ここで
速く弾いちゃダメ!楽譜に書いてあるテンポじゃないでしょ?
と生徒が弾いたものを否定すると、自信を無くして劣等感を抱いてしまうからです。
原因に合わせた共感の言葉がけの例
速いテンポで弾いたことに対する共感の言葉がけは、原因によっても変わってきます。
速く弾いてしまう理由、テンポ指示を無視してしまう理由をくみ取って、認めてあげることが大切です。
- すごいね!この間できるようになったところ、そんなに速く弾けるようになったんだ~!
- 速く弾けてかっこよかったね!YouTuberみたい!
- 思いっきり弾くと気持ちがスッキリするよね。先生もたまにやるときがあるよ!
このような言葉がけをして、まずは生徒がやったことを(やってきたことを)受け止めましょう!
自己肯定感を高められるように♫
速弾きする生徒への具体的な指導法・対処法
速弾きしたり、テンポ指示を無視したりする原因が分かり生徒の気持ちに共感したら、「テンポを守って弾くことの大切さ」を伝えるための指導に移りましょう。
- どうして速く弾くことがダメなのか
- 一定のテンポで弾くことがなぜ重要なのか
- なぜ楽譜に書いてあるテンポ指示を無視してはいけないのか
この疑問が生徒の中で解決されない限り、いくら注意しても同じことが繰り返されていくでしょう。
この疑問を解決できるヒントを生徒に与えていけば、自ずとどうすればいいのか分かっていきますよ。
おもいっきり速く弾かせてみる
生徒が速弾きする原因が
- 集中力がなくなってきている
- ストレスが溜まっている
- イライラ・ソワソワ落ち着かいない感じ
このような場合は、ワザとおもいっきり速く弾かせてみることもあります。
まずストレスを発散させ満足感を与えることで、気持ちをリセットできます。
もちろん、このときの演奏はまったく音楽的ではないので、ただ生徒の欲求を満たすためだけに行います。
そのあと指導に入りましょう。
良い例と悪い例を聴かせる
生徒側が「話を聞き入れる姿勢が整ったな」と思ったら、良い例と悪い例の2つを聴かせます。
- 生徒がやりがちな「得意なところは速く、苦手なところは遅く」弾く演奏
- 「楽譜に指示してあるテンポ」で弾く安定した演奏
2パターンを弾き終えたら、生徒にどちらの演奏が良かったか聞いてみましょう。
②の方がキレイだった!
と生徒の口から出ればしめたもの!
生徒の年齢が低いほど、演奏しながら自分の出した音を注意深く聴くのは難しい作業です。
また、 この時期は比較学習が子どもにとって分かりやすいので、良い例と悪い例の2パターンを弾いて比べさせ、生徒自ら答えてもらいましょう。
知っている曲をデタラメなテンポで伴奏して歌わせる
生徒が知っている曲をわざと途中でテンポを変えながら伴奏し、生徒にメロディーを歌ってもらう
という経験をさせることも、速さの概念・一定の速度で弾くことの大切さを理解させるうえで効果的です。
「
ちょうちょう」を例に挙げてみましょう。- ♪ちょうちょ ちょうちょ なのはにとまれ~ の部分を速いテンポで弾く
- ♪さくらのはなの はなからはなへ~ の部分をものすごく遅いテンポで弾く
- ♪とまれよ あそべ あそべよ とまれ~ の部分をまた速いテンポで弾く
このようにテンポを途中で変化させながら先生が伴奏し、生徒に歌ってもらいます。
歌い終わったあとに
先生、すごく歌いにくいんだけど…
と生徒が言ったらこっちのもの!!
同じ速さで通して弾かないと、歌っている人や聴いている人が困ってしまう…ということを生徒自身が気づけるようなアプローチをしていきましょう。
もし生徒が作曲者ならどう感じるかイメージさせる
もし○○ちゃんが自分で曲を作ったとして、このくらいの速さで弾いてほしいって書いたとするでしょ?その楽譜をみた人が、○○ちゃんが楽譜に書いた速さとまったく違う速さで弾いたらどう思う?
というように、生徒自身が作曲者になったイメージを持たせる方法も効果的です。
○○ちゃんは生きているから、もし違う速さで弾いたら弾いた人に対して「違うよ」って言えるけど、今練習している曲の作曲者(例えば)グルリットさんはもう生きていないから、自分で注意できないんだよ。
だから代わりに先生が注意しているんだよ。
と話すと、なぜ先生が注意しているのかを理解してもらうきっかけになります。
「作曲者の意志は大切なこと」という音楽を学ぶうえで大切なことも、考えられるようになるでしょう。
子どもが正しいテンポを守るための工夫
「正しいテンポで弾くこと」「一定のテンポで弾くこと」の重要性を生徒に理解させることができたら、それを守るために次のような工夫をしていきましょう。
メトロノームを活用する
メトロノームの活用は、レッスンでも一般的に行なわれていますよね。
メトロノームを使用することで、正しいテンポを意識しながら練習できます。
特にテンポ感がまだ曖昧な子どもにとって、一定のテンポで練習することはリズム感の向上にも役立ちます。
はじめはゆっくりとしたテンポで練習し、少しずつメトロノームのテンポを速めていきましょう。
\練習のお供に「振り子式」/
曲の全体像を常にイメージさせる
ある部分だけテンポが速くなったり、遅くなったりする生徒は、一曲を通してのイメージがないのかもしれません。
先生がお手本で全体像を示したり、CDや動画などで「完成形」を常に耳に入れるようにしてみましょう。
CDや動画など完成形となる演奏のテンポが速くて逆効果になってしまう場合は、先生が「ゆっくりのお手本」を示したり、ゆっくりの伴奏で支えてあげたりする方法もおすすめです。
目標を持たせる
「指定されたテンポをキープして弾く」という目標を設定し、それを達成できたら褒めることで、子どもが楽しみながらテンポを意識できるようになります。
例えば、練習の際に「このテンポで最後までミスなく弾けたらご褒美」という目標を設定することで、モチベーションが上がり、正しいテンポで弾く意識が向上します。
ご褒美はシールや飴など、あまり背伸びしないで準備できるものにしましょう。
音楽の物語や感情を考えさせる
速く弾くことに気持ちが向きがちな子どもには、曲がどんな気持ちや物語を表現しているのかを考えるように促します。
楽曲に込められた感情や意味を考えさせることで、自然とテンポを守りつつ、曲に込められた雰囲気を大切にする姿勢が身に付くでしょう。
正しいテンポで弾けますように!
生徒に納得してもらうことが大切
生徒に安定したテンポを求めることは、年齢が低いほど難しいものです。
まずは速く弾いてきたことを受け止め、そこから如何に分かりやすく生徒に示してあげられるかが大きなポイントです。
メトロノームを使った練習や、テンポの重要性を理解させるアプローチを取り入れ、楽しく練習を進めながら、音楽の基礎をしっかりと身に付けられるよう指導していきましょう!
説得力のある指導を目指そう♪
\無理なく生徒を伸ばしたい/
この記事を書いた人
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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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