あなたは、マズルカとポロネーズの違いがわかりますか?

どちらもショパンが作曲した舞曲でしょ?



ポーランドの音楽なのは知ってるけど、
違いがわからない
このような方も多いのではないでしょうか?
たしかに、どちらもポーランドの民族舞曲に由来していますし、クラシック音楽の中でもよく耳にするジャンルですよね。
でも、それぞれテンポ・リズム・性格・歴史背景などには大きな違いがあるんですよ!
この記事は
という、ピアノをはじめとした楽器を習っている生徒や保護者のみなさんにおすすめです!
今回は、マズルカとポロネーズの違いを、リズムや文化的背景、代表的な楽曲などの視点から、わかりやすく解説していきます。
ぜひ実際の演奏表現につなげてくださいね!



何が違うんだろう?
【共通点】マズルカもポロネーズもポーランド発祥の舞曲


まず、マズルカとポロネーズの共通点についてみていきましょう。
マズルカとポロネーズの共通点
- どちらもポーランドの伝統舞曲がルーツ
- ショパンが残した多くの作品で有名
- いずれも3拍子系のリズムがベース
- 民族的な誇りや感情を表現する音楽
このように2つの舞曲には、共通点がたくさんあります。
しかしその裏には、それぞれが全く異なる表情や歴史を持った舞曲であるという真実が隠れているんですよ。



共通点がたくさん!
【マズルカとは】農民から誕生した素朴だけど情熱的な踊り


はじめにマズルカについて、詳しくみていきましょう。
起源はポーランドの農民文化
マズルカ(Mazurka)は、
ポーランド中部の「マゾフシェ地方」に伝わる農民の踊りが起源
とされています。
古くから結婚式や村のお祭りなどで演奏され、素朴な舞曲として人々に親しまれていたといわれています。
リズムは3拍子がベースとなっていますが、第2拍や第3拍にアクセントが置かれるのが特徴的。
これが、独特で跳ねるようにスキップしたくなる感覚を生み出しています。
マズルカは「正統派」というよりも、自由な感じを残しつつも情緒あふれる表現が魅力の舞曲となっています。
\マズルカをもっと詳しく!/


祖国への郷愁の想いを込めたショパンのマズルカ
1830年、ショパンが20歳のときにポーランドを離れ、ウィーンへ音楽留学・演奏旅行をしていました。
そのとき、ポーランドはロシア帝国の支配下に置かれたことで、ショパンは祖国に帰国できなくなってしまいます。
その後フランス・パリに移住したショパン。
ショパンはポーランドを離れてからも、マズルカをポーランド人の魂を象徴する音楽とし作曲していたといわれています。
【ポロネーズとは】貴族から誕生した誇り高き行進曲


つぎにポロネーズについて、詳しくみていきましょう。
起源は王宮での行進舞踏
ポロネーズ(Polonaise)は、ポーランド語で「ポーランド風」を意味し、もともとは
貴族たちが式典や行列で踊った厳かな行進用の舞踏曲
です。
ポロネーズの起源は16世紀〜17世紀頃。
結婚式や王室の祝典で、威厳と品格をもって入場するための音楽として発展しました。
マズルカとは対照的に、堂々とした重々しいテンポと、雄大で重厚感のあるメロディー、整った形式感などが特徴です。
ポロネーズのリズムも3拍子でマズルカと同じように付点のリズムが使われますが、歩けるくらいのテンポに設定されているため威厳のある行進感が生まれます。
行進曲といえば2拍子のマーチのリズムをイメージする方も多いと思いますが、3拍子のポロネーズはマーチよりも、より優雅な行進をイメージすることができますね!
\実際の踊りを見てみよう/


ショパンにとっては愛国心を象徴する「戦う舞曲」
ショパンにとってポロネーズは、単なる舞曲ではありませんでした。
ポーランドがロシアに支配されるなかで、ショパンは祖国への誇りと抵抗の精神を込めてポロネーズを作曲したといわれています。
特に「英雄ポロネーズ」は、戦いの前に兵士が踊る音楽として、魂を奮い立たせるような力強い響きを持っていますよね!
【リズムとテンポの違い】跳ねるマズルカ vs 堂々たるポロネーズ


ここでマズルカとポロネーズを、音楽的な特徴やリズムとテンポの面から、表で比較してみたいと思います。
比較項目/踊りの種類 | マズルカ | ポロネーズ |
---|---|---|
拍子 | 3拍子 | 3拍子 |
テンポ | 中庸〜速めでリズムの揺れがある | ゆったり〜中庸でテンポ感は安定 |
アクセント | 第2拍・第3拍になることが多い | 1拍目に重心があり付点の行進リズム |
リズム感 | 自由で不規則 跳ねるような動き | 堂々とした行進風 安定感のあるリズム |
マズルカは、演奏するたびに表情が変わるようなリズムの自由な感じが魅力的。
テンポも曲によって大きく異なり、揺れやルバートを使って表現されることも多くあります。
一方でポロネーズはしっかりとした形式感があり、行進のテンポがキープされます。
リズムがブレることはあまりなく、音楽そのものに重厚感と高貴さが漂っているのも特徴ですね!



テンポ感が大きく違う♪
【踊りの違い】農民の自由なステップ vs 貴族の品格ある歩み


ここまで楽曲のイメージの違いにスポットを当ててきましたが、踊りの側面にももう少し踏み込んでみましょう。
マズルカの踊り方
マズルカのダンスは、農民の間で親しまれてきました。
踊りには次のような特徴があります。
- ジャンプやステップを組み合わせる動き
- 体を大きく使って飛び跳ねる
- 軽快で即興的な踊り
- 感情やその場の雰囲気で踊りが変化する
このようにマズルカは形式にとらわれず、比較的自由に踊られるようですね。
テンポの変化に合わせて踊りのスピードが変わることもあるのだとか!



マズルカのステップ難しそう!
ポロネーズの踊り方
一方でポロネーズは、貴族たちが集う宮廷での入場曲として発展しました。
踊りには次のような特徴があります。
- 整列した男女がゆっくりと行進しながら前へ進んでいく
- 首を上げて胸を張る威厳のある姿勢
- 規則正しい動き
- 一拍目で重心を下げる
このようにポロネーズは、ステップのひとつひとつに威厳と優雅さを持たせて踊られるそうです。



ポロネーズなら踊れるかも♪
マズルカとポロネーズは、まったく別物!


ここまで、マズルカとポロネーズの違いについてまとめてきました。
どちらも同じ3拍子でポーランド発祥の舞曲ですが、
- テンポ
- 流行した層・階級
- 踊り方
- 曲調
などが、まったく違うことがおわかりいただけたのではないでしょうか?
大きな違いをまとめると、次のようになります。
- マズルカは農民の踊りから生まれた、自由で感情豊かな舞曲
- ポロネーズは貴族の儀式で踊られた、堂々として誇り高い舞曲
ショパンがこの2つの舞曲を大切にした理由は、それぞれが祖国ポーランドの「心」と「誇り」を象徴していたからといわれています。
もしあなたがマズルカやポロネーズを演奏するなら、その背景にある「踊りの情景」や「民族の精神」を感じ表現してみましょう!
より深い演奏、説得力のある演奏に近づけるはずです。



曲をたくさん聴いてみよう♪
\こちらも3拍子の舞曲だけど?/


この記事を書いた人


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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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