グランドピアノには、たいてい3つのペダルがついています。
右、左、そして真ん中…と3つ付いていますよね!
右のペダル(ダンパーペダル)と左のペダル(ソフトペダル)はよく使われるけど、

真ん中のペダルって何のためにあるの?
と思ったことはありませんか?
この記事は
- グランドピアノの真ん中のペダルについて知りたい
- グランドピアノの真ん中のペダルを使ってみたい
- 真ん中のペダルが使われる曲を知りたい
- 楽譜にどのように書かれるのか知りたい
という方におすすめです!
今回は、そのちょっとナゾめいた真ん中のペダルについて、分かりやすくご紹介します。



使ったことある?
グランドピアノのペダルの役割


ピアノのペダルは、手ではなく【足で使う“音の魔法スイッチ”】です。
ペダルをふむことで、音ののび方や強さ、ひびき方が変わり、より豊かな表現が可能になりますよね。
グランドピアノの3つのペダルにはそれぞれ役割があるのですが、ざっくり言うとこのような感じになります。
- 右ペダル(ダンパーペダル):音をのばす
- 左ペダル(ソフトペダル):音を小さくやわらかくする
- 真ん中のペダル(ソステヌートペダル):ちょっと特別!
今回は、この「ちょっと特別」な真ん中のペダルにスポットライトをあてていきましょう!
\2本ペダルのグランドピアノもあるよ/


真ん中のペダルは「ソステヌートペダル」
真ん中のペダルには「ソステヌートペダル」という名前があり、「Sostenuto Pedal」とつづります。
または「サスタニングペダル」と呼ばれることもあります。
ちょっと聞き慣れない言葉ですよね?
ソステヌートの意味
ソステヌートはイタリア語で、
- 支える
- 維持する
という意味を持っています。



じゃあ何を支えるの?
という疑問点がでてきますよね。
ソステヌートペダルを使うと、選んだ音だけを支えて残すという、ちょっと不思議なことができるようになるんですよ!
ソステヌートペダルの使い方
では、ソステヌートペダルはどのように使うのでしょうか?
たとえば、あるピアノの鍵盤(ドとかミとか)を押したまま、真ん中のペダルを踏むと…
その押していた音だけが、ずーっと残るようになるんです!
その後、ほかの音をひいても、その音たちはふつうに消えていくのに、最初にペダルを踏んだ音だけは響き続けます。
まるで
「この音だけは、特別にのこっててね」
とお願いしてるみたいで、ちょっとカッコよくないですか?
具体的な使い方は、調律師とピアニストの方が動画で丁寧に解説してくださっていますので、こちらを参考にしてくださいね!



グランドピアノで試してみて♪
どのような場面で使われるのか
ソステヌートペダルは、「ずっと残しておきたい音があるとき」に効果を発揮します。
たとえば、次のような場合に有効です。
- 通奏低音(おなじバス音をずっと伸ばす場合)の上でハーモニーが変化しているとき
- 何小節かに渡って、ある音だけを伸ばしたいとき
アップライトピアノではできない
ここでちょっと注意したいことがあります。
アップライトピアノ(たて型のピアノ)にも真ん中のペダルがありますが、アップライトピアノの場合はソステヌートペダルではないことがほとんどです!
アップライトピアノの真ん中のペダルは、ほとんどの場合は「弱音ペダル(マフラーペダル)」となっていて、ソステヌートペダルとは使用方法がまったく異なるため、注意が必要です。
アップライトピアノの場合でも、真ん中のペダルをふんでいるあいだだけ全部の音をちょっとだけのばす機能がついているものもありますが、グランドピアノのように「音を選んでのばすこと」はできません。
\アップライトのペダルの役割も!/


ソステヌートペダルはいつ・どんな曲で使われるのか


実はこのソステヌートペダル、日頃はあまり使われないペダルです。
なぜ使用頻度が少ないのか、いつ・どんな曲で必要になるのかを解説します。
使用頻度が少ない理由
なぜソステヌートペダルがあまり使われないかというと…
- 音の使い方がむずかしい
- 上級レベルの曲でしか使われることがない
- 指で押さえていられればそれで足りる場面が多い
- 作曲家がソステヌートペダルを指定していないことが多い
- 家庭の楽器がアップライトの場合、ペダルを踏む練習ができない
このような理由が考えられます。
しかし、クラシック音楽の中には、「この音だけのばしてね」と細かく書かれている楽譜もあるんですよ!
またクラシックだけでなく、ジャズや現代音楽においても、音の響きの効果を上手にコントロールしたい人にはとっても役立つものとなっています。
ソステヌートペダルが使われる曲
ではここから、ソステヌートペダルが使用される主な曲をご紹介しましょう。
作曲者自身がソステヌートペダルを直接指定している曲は多くありません。
使用する場合は、低音を残しながら高音を軽やかに奏でる場面で、演奏者の判断でこのペダルを使うことがあります。
ドビュッシー「沈める寺」
こちらの動画では、演奏と一緒に楽譜も見られるので、参考になるかと思います。
一拍目で長く伸ばす音はソステヌートペダルで保ち、そのなかで和音を変化させているのが分かるのではないでしょうか?
ドビュッシーの作品は、ソステヌートペダルを使用する機会が多いですね。
「月の光」でも使用できますが、あえて使用しないで演奏する方もいます。
ラフマニノフ「鐘」
この曲は、フィギュアスケートで浅田真央さんがオリンピックで使用して有名になりました。
こちらはサンプル音源ですが、楽譜を見ると、低音を響かせたうえで和音が変化しています。
こちらもソステヌートペダルを使用しないで演奏することもあります。
武満徹「雨の樹 素描」
現代の作曲家・武満徹さんの曲では、楽譜に「sus.」と明記されており、ソステヌートペダルの使用が指定されています。
ちなみに楽譜内のペダルは、次のように解釈します。
- R:右のペダル
- sus:真ん中のペダル
- L:左のペダル
武満徹「フォー・アウェイ」
武満さんは、こちらの作品で真ん中のペダルを「M(middle)」と表記しています。
武満さんの楽譜を見ると分かると思いますが、現代の作曲家たちが書くピアノソロ作品では、ペダルの指定がかなり細かくなっていますね。
1/2(またはharf)と書かれているのは、「ペダルを半分だけ踏んでください」という意味です。



指定通り演奏するのが難しそう…
楽譜にどう書かれるのか
ここまでご紹介してきたように、ソステヌートペダルは演奏者の任意にゆだねられることも多いペダルです。
作曲家が楽譜で指示する場合は、次のように書かれます。
- Sost. Ped.
- middle pedal
- 記号で Ⓢ
先ほどの武満さんの楽譜のように、現代作曲家の場合はこの限りではありません。
楽譜に書かれていいなくても、演奏者自身の判断で「ここはソステヌートが合うな」と思ったときは、使うのもありです!
真ん中のペダルは「選んだ音だけ残せる」不思議なペダル


グランドピアノの真ん中のペダル「ソステヌートペダル」は、選んだ音だけを残すという、ちょっと不思議で特別なペダルです。
習い始め~中級レベルのうちは、あまり使うことがないペダルですが、使いこなすと音楽の世界がもっとおもしろくなりますよ!
もしグランドピアノを弾く機会があったら、ぜひ真ん中のぺダル「ソステヌートペダル」の効果を実感してみてくださいね。



お試しあれ♪
\3つのペダルの役割をおさらい/


この記事を書いた人


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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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