ピアノ音楽における性格的小品・キャラクターピースの特徴と代表作

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性格的小品(キャラクターピース)の特徴と代表曲
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クラシック音楽の世界には、「性格的小品」や「キャラクターピース」と呼ばれる小さな作品が数多く存在します。

ピアノ作品を演奏したり聴いたりしていて、曲の解説を見ると

この曲は【性格的小品】として作られました

と書かれていることがありますよね。

【キャラクターピース】って先生が言ってた!

というように、違った言い回しで呼ばれることも。

この記事は

  • 「性格的小品」を練習している
  • 「性格的小品」とはどんな音楽のことをいうのか知りたい
  • 「性格的小品」と「キャラクターピース」との違いを知りたい
  • 音楽鑑賞が好き
  • クラシック音楽に興味がある

という方におすすめです!

音楽における性格的小品とは何かを、有名な作曲家による代表曲も紹介しながら、なるべくわかりやすく解説していきます。

どんな世界かのぞいてみよう♪

「性格的小品・キャラクターピース」の意味・特徴

「性格的小品(せいかくてきしょうひん)」という言葉は、19世紀のロマン派音楽を中心に広まった表現だといわれています。

英語では

character piece(キャラクターピース)

とも呼ばれていますよね!

「性格的小品」と「キャラクターピース」は違うものなの?

実は「性格的小品」と「キャラクターピース」は、ほとんど同じ意味で使われています。

どちらも、音楽で “ある雰囲気”の気分やイメージを表現する短い作品を指す言葉です。

ただし、「キャラクターピース」という表現の方がより抽象的で、「性格」というよりは

  • 雰囲気
  • 表情
  • 小さな物語

といった、音楽そのものの“顔つき”を指しているような印象を持つ方も多いかもしれませんね。

つまり、日本語で「性格的小品」と訳すとちょっと堅く聞こえるだけで、内容はほぼ同じと考えてOKです。

同じものだったんだね♪

ある性格や気分・情景などを描いた小さな作品のこと

「性格的小品」という文字からはなかなかイメージできないかもしれませんが、「キャラクターピース」というと、つぎのような意味を想像できませんか?

キャラクター:特徴・性格・性質・持ち味

ピース:部分・断片・作品・音楽

これをまとめてみると…

ある性格や気分・情景などを描いた小さな作品

ということになりますね。

「気分・情景」の例

「気分や情景」といっても、具体的にはどのような場面のことをいうのでしょうか?

例をいくつか挙げてみましょう!

  • 夕暮れの静けさ
  • 子どもの無邪気さ
  • 誰かへの淡い恋心
  • 雪が深々と降る街の情景

こうした“何かを感じさせる音楽”のこと。

聴いた瞬間に、懐かしい記憶がよみがえったり、まだ見たこともない景色が目に浮かんだりするような…そんな音楽が「性格的小品」として位置づけられています。

短い時間に想いが凝縮されている

「小品」とは「小さな作品」のこと。

つまり、「性格的小品」は10分以上の大曲ではなく、比較的短い時間のなかで作曲されているのも特徴の一つです。

曲の長さは1分〜数分ほどです。

曲の長さは短いですが、そのなかに作曲者が想うドラマや感情がギュッと込められているのも魅力的ですよね。

ドラマティックな作品が多い♪

「絶対音楽」と「標題音楽」の中間として位置づけられる理由

性格的小品(キャラクターピース)は、

絶対音楽と標題音楽の中間に位置する

といわれることがあります。

それは曲の内容のあいまいさ・自由さ、さらに聴く人の想像に委ねるスタイルにあるようです。

詳しくみていこう♪

絶対音楽と標題音楽

まずは絶対音楽と標題音楽について、少し説明しておきましょう。

絶対音楽(Abstract Music / Pure Music)

音楽自体が目的で、物語・風景・感情など具体的な意味を持たない音楽のことを指します。

例:ソナタや交響曲のように形式や構造が重視される作品

標題音楽(Program Music)

物語や情景、人物など、はっきりとした題材がある音楽のことを指します。

例:聴く人にストーリーを伝えようしている作品
情景・感情をあらわすタイトルや説明文がつくものもある

なぜ中間として位置づけられるのか

性格的小品は、標題音楽ほどストーリーを語りすぎないけれど、絶対音楽ほど抽象的でもない音楽です。

たとえば、性格的小品には次のような3つの特徴があります。

①タイトルに感情や情景が込められている

性格的小品の例

  • シューマン《子供の情景》より「見知らぬ国と人々」
  • グリーグ《抒情小曲集》より「小妖精」
  • ドビュッシー《前奏曲》より「亜麻色の髪の乙女」

タイトルからなんとなくイメージはわきますが、そこには標題音楽が持つような「はっきりとしたストーリー」があるわけではありません。

②音楽そのものが性格・雰囲気を伝えている

性格的小品は、作曲者の指示として楽譜に

  • 悲しく
  • 軽やかに
  • 幻想的に

という記載があることが多く、音だけで気分やキャラクターを描こうとしています。

これが

音の表情

キャラクターピース(性格的小品)

の由来にもなっているんですね。

③解釈は聴く人に委ねられる

性格的小品は、標題音楽のように「これは○○の物語だ」と決めつけられていないのも特徴。

聴く人の感じ方によって、さまざまな情景や感情をイメージすることができるのです。

人によって解釈やストーリーが変わってくる…

このあいまいさこそが、絶対音楽と標題音楽の「中間的な存在」と呼ばれている理由になっているのではないでしょうか?

いろんなストーリーがある!

「性格的小品」はロマン派で発展

性格的小品が登場したのは、19世紀ロマン派の時代といわれています。

どんな経緯で誕生したのでしょうか?

ロマン派作曲家の「音楽の役割」に対する意識の変化

ロマン派の作曲家というと、どんな作曲家をイメージしますか?

ロマン派の作曲家の例

  • ショパン(Frederic Chopin/1810–1849)
  • シューマン(Robert Schumann/1810–1856)
  • リスト(Franz Liszt/1811–1886)
  • ブラームス(Johannes Brahms/1833–1897)
  • メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn/1809–1847)
  • シューベルト(Franz Schubert/1797–1828)
  • チャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky/1840–1893)

ロマン派の時代の音楽家たちは

個人の感情や内面を音楽で表現したい

という強い気持ちを持っていたといわれています。

音楽はただ美しいだけでなく、

何かを語るもの
何かを表現するもの

としての役割を持ち始めました。

ピアノの普及も関係

性格的小品が発展した背景には、ピアノの普及も関係しているのだとか!

ロマン派の作曲家が活躍していたちょうどその頃、ピアノが家庭にも普及しはじめ、多くの人が自宅でピアノを弾くようになったといわれています。

「高貴な身分だけの人が触れることができる楽器」というイメージが、ちょっとずつ変化していったのですね。

ピアノが普及したことで、大規模なオーケストラ曲ではなく、一般の人でも親しみやすい小さな作品が求められるようになっていった

…そんな時代背景も、性格的小品が広く作られるようになった理由の一つとして考えられているそうです。

貴族から一般家庭へ!

よく知られた「性格的小品」の形式と代表作

ここから「性格的小品」の形式として有名なものを、いくつか挙げてみましょう。

「性格的小品」として分類される形式は、このほかにもあります。

  • マズルカ
  • ポロネーズ
  • エチュード(練習曲)
  • スケルツォ(諧謔曲)
  • バラード(譚詩曲)
  • ワルツ(円舞曲)
  • アンプロンプチュ即興曲)
  • 無言歌
  • ノクターン(夜想曲)
  • バルカローレ(舟歌)
  • プレリュード(前奏曲)
  • インテルメッツォ(間奏曲)
  • ファンタジア(幻想曲)
  • ラプソディ(狂詩曲)
  • カプリース(奇想曲)

特徴や代表作を見ていこう♪

マズルカ

マズルカは、ポーランドの民族舞曲を基にした3拍子のリズミカルな小品です。

代表作

  • ショパン《マズルカ 作品7-1》
  • シマノフスキ《20のマズルカ》

\マズルカをもっと詳しく/

ポロネーズ

ポロネーズは、ポーランド由来の荘厳でリズミカルな3拍子の舞曲です。

英雄的な性格、行進曲としての役割を持つこともあります。

代表作

  • ショパン《英雄ポロネーズ 作品53》
  • ショパン《軍隊ポロネーズ 作品40-1》

\ポロネーズをもっと詳しく/

エチュード(練習曲)

エチュードは、もともとは技術の練習を目的とした曲ですが、ロマン派以降は芸術性も重視されるように。

テクニックを磨きながらも、音楽的に美しい作品が増えました。

代表作

  • ショパン《エチュード 作品10・25》
  • リスト《超絶技巧練習曲》

スケルツォ(諧謔曲)

スケルツォは、「冗談」「戯れ」を意味するイタリア語が語源となっています。

軽快でユーモアな作品が多いですが、なかにはショパンのようにドラマティックで重厚な作品もあります。

代表作

  • ショパン《スケルツォ 第1〜4番》
  • ブラームス《スケルツォ 変ホ短調(F.A.E.ソナタより)》

バラード(譚詩曲)

バラードは、特にストーリー性を持った楽曲といえます。

もともとは語り歌に由来していたといわれていますが、ロマン派では叙情詩的なドラマを描く形式に発展していきました。

ショパンによって、ピアノ作品の一つのジャンルとして確立したといわれています。

代表作

  • ショパン《バラード第1番〜第4番》
  • ブラームス《バラード 作品10》
  • リスト《バラード第2番》

ワルツ(円舞曲)

ワルツは、3拍子の舞曲として有名な作品です。

宮廷舞踏から発展し、サロン音楽やコンサート用のピアノ曲としても人気になりました。

エレガントなものから情熱的なものまであり、さまざまな感情を表現できる作品でもあります。

代表作

  • ショパン《華麗なる大円舞曲》《小犬のワルツ》
  • ヨハン・シュトラウス2世《美しく青きドナウ》
  • ラヴェル《ラ・ヴァルス》

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アンプロンプチュ(即興曲)

アンプロンプチュは、即興的で自由な雰囲気を持った作品です。

構成としては短い作品が多く、とても洗練されています。

代表作

  • ショパン《幻想即興曲》
  • シューベルト《即興曲 作品90》

無言歌

無言歌は、メンデルスゾーンが生んだ歌詞はないけれども歌のようなピアノ小品のこと。

「言葉のないリート」とも呼ばれています。

美しい旋律と、親しみやすいのが特徴。

代表作

  • メンデルスゾーン《無言歌集》全8巻

ノクターン(夜想曲)

ノクターンは、静かで抒情的な夜の雰囲気を描く作品です。

代表作

  • ショパン《ノクターン 第2番 変ホ長調 作品9-2》
  • フィールド《ノクターン 第5番》

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バルカローレ(舟歌)

バルカローレは、水の揺れを感じさせる優雅なリズムが特徴。

ヴェネツィアのゴンドラを思わせる美しい作品が多いです。

代表作

  • ショパン《バルカローレ 作品60》
  • フォーレ《舟歌 第1番 作品26》

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プレリュード(前奏曲)

プレリュードは、かつては前置き的な役割とされていましたが、ロマン派以降は独立した小品として成立した作品です。

代表作

  • ショパン《24の前奏曲》
  • ドビュッシー《前奏曲集 第1巻・第2巻》

インテルメッツォ(間奏曲)

インテルメッツォは、ソナタや組曲の間に挿入されることが多い曲です。

一方で、独立した小品としても人気があります。

代表作

  • ブラームス《6つの間奏曲 作品118》
  • フォーレ《間奏曲 作品84》

ファンタジア(幻想曲)

ファンタジアは、自由な発想と形式で構成された作品です。

構成や拍節の制約が少なく、即興風・幻想的な雰囲気をもつ作品が多いので、作曲者それぞれの個性を楽しめる作品でもあります。

代表作

  • シューマン《幻想曲 ハ長調》
  • ショパン《幻想即興曲》

ラプソディ(狂詩曲)

ラプソディは、民族的な旋律や情熱的な表現を盛り込んだ自由な構成の作品です。

壮大でエネルギッシュな作品が多いのも特徴。

代表作

  • リスト《ハンガリー狂詩曲》
  • ガーシュウィン《ラプソディ・イン・ブルー》
  • ブラームス《ラプソディ 作品79》

カプリース(奇想曲)

カプリース(カプリス・カプリッチョ)は、気まぐれ・自由な性格をもつ音楽です。

曲のなかでテンポやリズムが自由に変化し、軽快な印象を与えますが、テクニック的に難しい作品も多いです。

代表作

  • パガニーニ《24のカプリース(ヴァイオリン独奏)》
  • リスト《パガニーニによる超絶技巧練習曲》
  • チャイコフスキー《イタリア奇想曲》

性格的小品はジャンルではなく【どう描かれているか】

最後に一つ補足しておきます。

「ノクターン」や「マズルカ」などの名称はジャンルや形式を指しますが、それが性格的小品であるかどうかはその作品の“描き方”次第です。

短く、情緒的で、聴いている人の想像力をかき立てるような作品ならば、立派なキャラクターピースといえるのではないでしょうか?

小さな物語を自由に想像して楽しもう!

性格的小品(キャラクターピース)は、規模の小さい作品ながらも、そのなかに「感情」「ストーリー」などがギュッと詰まった作品です。

クラシックというと交響曲のような長い作品をイメージしてしまい、苦手意識を持つ方もいるかもしれません。

でも性格的小品は、短くシンプルでわかりやすい作品でありながら「心に残るなにか」があるはず。

作品のなかに込められた小さな物語を、自由に想像して、音楽を楽しんでくださいね!

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この記事を書いた人

nabecco
nabecco
はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
性格的小品(キャラクターピース)の特徴と代表曲

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