音楽を習っていると、Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅴ7など先生が楽譜に書き込んでくれることもあるはず。
なかには

ナゾの記号でしかない
と感じでしまう生徒さんもいるのではないでしょうか?
この記事は
- 四和音(7の和音)について知りたい
- 属七(Ⅴ7)の意味について知りたい
- Ⅴの和音とⅤ7の違いがわからない
- 楽典の本を読んでも和音記号を理解できない
- どう教えれば子どもでも理解できるのか知りたい
という方におすすめです!
今回は、前段階である「三和音について」理解していることを前提に、四和音(7の和音)と属七について学んでいきます。
20年以上の指導経験をもとに、小学生または初心者でも理解できるように、四和音と属七についてオリジナル画像を使いながらわかりやすく解説していきますので、しっかり定着させましょう!



難しく考えないで♪
四和音の前に基本の「三和音」を知ろう


音楽では、いくつかの音を同時に鳴らすことで生まれる響きのことを「和音」と呼びます。
和音にはさまざまな種類がありますが、最も基本的なのは「三和音」と呼ばれるもの。
三和音とは、「1つの音を基準にして、3度ずつ積み重ねた3つの音」できたもののことを表すのですが、小さい学年のお子さんにはちょっと難しいかもしれませんね。
ということで、次のように考えてみましょう!
三和音は規則正しく(隙間なく)五線上に重なった3つの音


例えば、ドの音から規則正しく3つ音を重ねてみると、【ド・ミ・ソ】という和音ができます!
もっと詳しく三和音について学びたい方は、以下の記事をご覧ください。
\まずは三和音の理解から/


属七(Ⅴ7)を知るには四和音(7の和音)の知識が必要


先生が和音記号を使って曲の解説をするときに「属七(ぞくしち)」という言葉を多く使うことがあります。
属七も「ある種類の和音」を意味するのですが、属七を理解する前に「四和音(7の和音)」についての知識が必要になってくるため、ここから四和音を解説していきます。
四和音を作ってみよう
先ほど三和音について勉強したときに、お団子を規則正しく隙間なく3つ重ねていきました。
では問題です!



四和音になると、重ねるお団子の数はいくつになるかな?



お団子は4つ!



正解♪


例えば、ドの音から規則正しく4つ音を重ねていくと、【ド・ミ・ソ・シ】という和音ができます!
四和音は【7の和音】とも呼ぶ
このようにして、音を4つ重ねてできた四和音は【7の和音(しちのわおん)】とも呼ばれます。
なぜ【7の和音】と呼ばれるのでしょうか?
先ほどの画像にもありますが、四和音を作っている音には番号がついています。


- 一番下の根っこになる音を根音(こんおん)
- 根音から数えて3番目の音を第3音
- 根音から数えて5番目の音を第5音
- 根音から数えて7番目の音を第7音
その番号は音程と関わりがあるのですが、とりあえずその調の主音からみて何番目の音になるかがわかればOKです。
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主音から音を数えていくときに注意しなければいけないことがあります!
それは、
ドからドは1番目
と主音を含めて数えていくという点。
つまり、三和音に主音から数えて7番目の音が追加されることから【7の和音】と呼ばれているんですね!
ちなみに【7の和音】は、ポップスの場合【セブンス コード(7th chord)】ともいいます。



ここまでOK?
スケール上に四和音(7の和音)を作ってみよう


先ほどはドの音から四和音を作ってみましたが、ハ長調のスケール上で四和音を並べてみましょう。
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このスケールの上に、規則正しく、隙間なくお団子を4つ重ねていくと…
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和音記号に、それぞれ「7」の数字が追加されているのに気づきましたか?
属音上にできる四和音(7の和音)が属七
また、上記画像でくまさんもお話ししていますが、
主音から数えて5番目の【属音(Ⅴ)】の上に作られた四和音を【属七(ぞくしち)】と呼び、【Ⅴ7】と表記します。
属七の和音は長調と短調で同じひびきになる
ちなみに、短調の場合は【和声的短音階】で考えます。
ハ短調の和声的短音階のスケール上に、規則正しく、隙間なくお団子を4つ重ねていくと…
クリックで拡大


このようになります。
ピアノなどで実際に弾いてみると分かると思いますが、実は同主調(同じ音を主音とする長調・短調)の場合、属七の和音は同じひびきとなります。
同主調の属七は同じひびきの和音となる
属和音(Ⅴの和音)と属七の和音
日頃のレッスンで先生がよく使うのは、シンプルな属和音(Ⅴの和音)ではなく、属七の和音である場合が多いでしょう。
なぜ、属七の和音の方がよく使われるのでしょうか?
属七の方がよく使われる理由
それは属七には次のような性質があるから。
属和音よりも主和音に進む力が強い
属和音よりも、属七の方がより不安定なひびきをしているので、次に主和音を弾いたときに強い安心感を得られるんですね。
属七(V7)は、とても強い「解決感(次の和音に進みたくなる感じ)」を持っています。
たとえば、ハ長調の場合で考えると
- 属七の和音(V7)【ソ・シ・レ・ファ】 を弾くと、
- 主和音(Ⅰ) 【ド・ミ・ソ】 に進みたくなる
というかんじですね。
この進行(V7 → I)は、音楽の中で最もよく使われるものの1つです。



ドミナントモーションとも呼ばれる♪
属七は【主要7の和音】とも呼ばれる
このように主要三和音の一つでもある属和音(Ⅴの和音)よりも、実際の曲のなかでよく使用されるのは属七の和音です。
つまり属七の和音は【7の和音】のなかでも、もっとすごい【主要7の和音】として位置づけられるくらい重要な役割を持っているのです。
ということで、
属七の和音は主要三和音とセットで大事な和音
として覚えましょう!



属七ってそんなにすごいのか!
Ⅰ→Ⅴ7→Ⅰはお辞儀の進行
ここまでずっと文章を読んできて、



やっぱり属七ってよくわからない
と思ったら、お辞儀をするときにピアノで弾く機会も多い、あの和音進行を思い出してみてください。
これは次のような進行になっています。
Ⅰ→Ⅴ7→Ⅰ
2番目に鳴る和音が属七(Ⅴ7)です。
属七の和音が鳴っている間は、お辞儀をしている状態ですよね。
そこから3番目に主和音(Ⅰ)が鳴ることで、またまっすぐの姿勢に戻りたくなります。
このように実際に聴いてみると、属七(V7)がとても強い「解決感(次の和音に進みたくなる感じ)」を持っていることをより理解できるのではないでしょうか?



弾いてみようかな♪
レッスンや練習している楽曲でも活用していこう!


四和音(7の和音)と属七について、理解できましたか?
- 四和音(7の和音)は、三和音にもう一つお団子を足したもの
- 属七(V7)は、曲の流れを作る大事な和音
- 属七(V7)は【主要7の和音】と呼ばれ主要三和音と同じくらい重要
「V7 → I」の進行は、世の中にあふれているさまざまな曲に必ずと言っていいほど登場します。
今演奏している曲のどこに「V7 → I」が隠れているか、ぜひ探してみてくださいね。
\ヤマハグレードでも属七を使う場面が/


この記事を書いた人


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はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
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