幼児期~小学校低学年のピアノを習っている生徒の特徴として挙げられるものの一つに「テンポを速く弾きたがる」ということがあります。
ピアノを指導する側や、いつも練習を聴いている保護者からしてみれば、それは「ただ速いだけ」に過ぎず、気持ちもこもっていない乱暴な演奏にしか聴こえません。
子どもはなぜその曲のテンポを無視して速く弾いてしてしまうのでしょう?
この記事は生徒またはお子さんが
- 速いテンポで弾く理由を知りたい
- 速く弾いてしまう原因を突き止めたい
- 楽譜に書いてある速さで弾かなくて困っている
- 楽譜のテンポ指示を完全に無視していてお手上げ!
という先生・保護者の方におすすめです!
ピアノ指導歴20年以上の経験をもとに、その理由を考えてみました。
併せて、
- どうして速く弾いてはいけないのか
- 楽譜に書かれているテンポよりも速く弾くことのデメリット
もご紹介します。
原因がわかると、「そういう理由だったのか!」と納得できるかもしれませんよ?
子どもの気持ちを考えてみよう♪
子どもが指示されたテンポより速く弾いてしまう理由
レッスンで幼稚園~小学校低学年の生徒に、「前回までやったところまで弾いてみよう!」というと、このようなことが起きる場合があります。
- 得意なところはダーッとものすごい速さで弾く
- 弾けないところや難しいところはすごくゆっくりになる
- また得意なところが出てくると速くなる
ピアノの先生やいつも練習を聴いている保護者のみなさんなら、子どものこのような状況にきっと出くわしたことがあるでしょう。
これは一曲のなかでテンポの変化する例ですが、このほかにも
という例もあります。
どうして子どもは指示されたテンポを無視したり、速く弾いたりするのでしょうか?
その理由をいくつ挙げてみます。
速弾きできるとかっこいいから
子どもは
「テンポを上げて速く弾けること」=「かっこいい」
と思ってしまいがち。
ピアノに限らずギターもそうですが、テレビや動画などで速弾きする演奏者の姿を見ると、「すごい!」 と思ったり憧れを抱いたりすることがあります。
途中指が転んでしまったとしても、速弾きすることで
- 疾走感
- 高揚感
を得ていることも多いでしょう。
速弾きはあこがれ!
テンポを上げると楽しいから
「速く弾くのが楽しい」という子もたくさんいます。
例えば、学校でこのような経験はありませんか?
「
ねこふんじゃった」を誰かが弾いていると「私も弾けるよ!」と言って、どちらが速いテンポで弾けるかバトルが始まる小学生あるあるですよね!
また、発表会で選曲する際などにあるのですが、ゆっくりの曲とテンポの小気味いい曲を2曲聞かせて、「どっちを弾いてみたい?」と聞くと、多くの生徒の場合「速い方の曲」と答えます。
潜在意識なのか、 テンポが速いと気分も盛り上がって楽しいからという理由も考えられます。
私もどっちが速く弾けるか競争してるよ
技術に自信があるから
子どもは新しい曲を始めたときや新たなスキルを習得したときに、それを
「早く見せたい」
「だれかに聴かせて自慢したい」
という思いが強くなることがあります。
特にテンポを速めると技術的に上達した気分を味わえるので、「自分が上手くなった証拠」という認識が生まれるのでしょう。
早く練習を終わらせたいから
子どもは集中力がまだ発達段階にあるため、ピアノの前にずっと座っていることに苦痛を感じることも少なくありません。
集中が切れると、
「早く練習を終わらせて別のことをしたい」
という心理が働き、無意識にテンポが上がってしまうことも考えられますね。
早くゲームしたい!
ストレス発散になるから
これはレッスンでは真面目に弾く子が家ではすごく速さで弾いている場合に当てはまることが多いかもしれません。
いつも型にはまった演奏ばかりしていると、そのことに対してストレスが溜まってきます。
その結果、家ではすごく速く弾いたり、乱暴な音を出したりしてしまうのではないかと思います。
レッスンや家で、先生・お母さんの言うことを聞かずに速いテンポで乱暴に弾く場合は、もしかするとなにかストレスを感じているのかもしれませんよ?
子どもはその時の精神状態が演奏にそのまま反映されることも多いため、頭ごなしに注意するのではなく、様子を観察し、背後に隠れているものに寄り添ってあげることも大切です。
曲全体の把握ができていないから
これは特に初心者の子どもが少し長い曲を練習する場合に考えられる理由です。
初心者にとって、曲全体を理解して、テンポやリズム感を正確に把握するのは難しいため起こります。
曲の完成像が見えないことが原因かもしれません。
そのため部分的に速くなったり遅くなったりすることがあり、テンポが安定しない要因にもなるのです。
思い当たる原因は見つかったかな?
楽譜に書かれているテンポよりも速く弾くことのデメリット
次に、楽譜に書かれているテンポよりも速く弾いたり、指示を無視して弾いてしまうことで起こるデメリットをご紹介します。
正確なリズム感が育たない
楽譜通りのテンポで演奏することは、
音楽の基本であるリズム感
一定のテンポを保って弾く等速感
を養うことにつながります。
速いテンポで弾くことで、リズムが正確にとれなくなったり、音のツブがそろわなくなったりすることも出てくるでしょう。
特に幼少期にリズム感や等速感を身に付けられないと、将来の演奏スキルにも影響を及ぼす可能性も考えられます。
音楽表現が浅くなる
指示されたテンポで演奏することは、その曲が本来持つ「表情」を引き出すために大切なことです。
作曲者の指示は、きちんと守りましょう!
速く弾いてしまうと、曲が持つ雰囲気や情緒が失われ、どこか薄っぺらい演奏になってしまうことがあるため注意が必要です。
また曲によっては、ずっと同じ速さではなく、曲の途中でテンポによって感情や物語が変えることもあるため、指定されたテンポを守ることで表情豊かな演奏ができるようになります。
指先のコントロールが不安定になる
速いテンポで弾くと、指をコントロールすることが難しくなりますよね。
例えば発表会・コンクールなどで
緊張のあまりいつもより速くなり、音が抜けてボロボロになってしまった
という経験はありませんか?
速いテンポで弾くと、結果として音がバラバラになったり、指がもつれたりすることがあり、演奏の精度が低下します。
\緊張対策してる?/
子どもの気持ちに寄り添いつつ改善していこう
子どもがピアノを速いテンポで弾いてしまうのには、技術に対する自信や、飽きやすさ、ストレス…などさまざまな理由が関係しています。
しかし、正確なテンポで演奏することはこの先の技術力の向上や、音楽表現の深まりなど多くのメリットがあるため、テンポを守って演奏する習慣を身に付けることはピアノを指導するうえで避けて通れません。
速いテンポで弾きたくなる子どもの気持ちに寄り添いつつも、改善していけるように指導方法を変えてみましょう。
言葉がけの工夫で変わるかも?
\具体的な指導方法はこちら/
この記事を書いた人
-
はじめまして、nabecco(なべっこ)です。
のんびり田舎ぐらしをしながら、自宅でピアノ&エレクトーン講師をしています。
生徒時代は練習嫌い・劣等生だった経験を活かし、そんな人でも楽しく音楽を学べるような記事作りを心がけています。
主婦目線での子育て情報も。
最新の投稿
ヤマハグレード2025-01-10【ヤマハピアノグレード9級・伴奏づけ対策】カデンツこれだけは! ヤマハグレード2024-12-21【ヤマハピアノグレード9級】伴奏づけのコツと対策方法 ヤマハグレード2024-12-19【ヤマハピアノグレード9級・初見対策】スケール&カデンツこれだけは! ヤマハグレード2024-12-13【ヤマハピアノグレード9級】初見演奏のコツと対策方法