ヤマハのピアノグレード8級Bコースは、2018年11月に改訂されてから「難しくなった!」という生徒が増えました。
どうしてもハーモニー聴奏が苦手でうまくできない!…という方のために、 問題集から分析した出題傾向と練習方法 をご紹介します。
前回は 最初の和音のポジションが分かるようになる耳の作り方 に焦点をあてて練習方法をご紹介しました。今回は 5~6個のハーモニーの流れを聴きとり弾けるようにするまで に焦点をあてていきます。
最初の和音のポジションが聴きとれず、手の準備すらできない!…という方はこちらの練習方法をお試しください。
【ヤマハ・ピアノグレード8級Bコース】ハーモニー聴奏の出題範囲
2018年11月の改訂によって、出題される調が6つになりました。
- ハ長調
- イ短調
- ヘ長調(♭1つ)
- ニ短調(♭1つ)
- ト長調(♯1つ)
- ホ短調(♯1つ)
8級の目的は、Ⅰの2転→属7 の終始カデンツが定着しているか…ということ。
なので、上記の6つの調のⅠの2転→属7の流れのカデンツを練習しておく必要があります。
開始のポジションが3つある(ハ長調なら左手はドで固定ですが、 右手のポジションは「ドミソ」「ミソド」「ソドミ」の3つのポジション)ため、6つの調×3つのポジションで 計18個のカデンツ を覚えないといけません!
何はともあれ、聴こえても弾けなければ意味がない…ので練習するのみです。
ここから8級Bコースで定着が必要な6つの調のカデンツ、3ポジションをご紹介します。毎日練習して苦手を無くしましょう!
ハ長調のカデンツ
左手(ベース音)は赤いラインの上行形と青いラインの下行形の2種類を練習しましょう。
ハーモニー聴奏では、ベース音の上行・下行も聴き分ける耳が必要になってきます。
緑で記した和音記号(ⅠやⅣなど)は、3つのポジションすべて同じ順番です。(これからご紹介する調も同じ順番です)
イ短調のカデンツ
イ短調は 臨時記号でソに♯がつく ので気をつけましょう!
ヘ長調のカデンツ
ヘ長調は調号が♭1つで、 シの音がすべて♭ になります。
ニ短調のカデンツ
ニ短調は調号が♭1つで、 シの音がすべて♭ になるほか、 臨時記号でドが♯ になります。
ト長調のカデンツ
ト長調は調号が♯1つで、 ファの音がすべて♯ になります。
ホ短調
ホ短調は調号が♯1つで、 ファの音がすべて♯ になるほか、 臨時記号でレが♯ になります。
ホ短調は8級から加わるため(9級までは出題範囲にありません)、生徒も不慣れ化と思います。たくさん練習しましょう。
【出題傾向から考える】ハーモニーの流れを聴く練習方法
6つの調×3つのポジション、計18個のカデンツを練習するだけでは、8級Bコースのハーモニー聴奏対策は完ぺきとは言えません。
ハーモニーの流れ(出題される順番)をきちんと聴きとり、鍵盤で再現できることが重要なので、ここからは右手(ハーモニー)の流れと左手(ベース)の流れを聴きとるための練習方法をご紹介します。
右手(ハーモニー)の流れ
先ほどご紹介した18個のカデンツを練習するときに、 一番上にくる音(右手の5の指で弾く音)を歌いながら弾く練習が効果的 です。
ハ長調の1番目のポジションなら、「ソ・ラ・ソ・ソ・ソ」と歌いながら練習します。
もし余裕があれば「ドミソ・ドファラ・ドミソ・シファソ・ドミソ」と 右手で弾く和音を全部歌う練習も効果的 ですよ。
なかには、
ドミソは聴きとれるけど、シファソなのかドファラなのかが分からなくて聴きとれない…
という生徒もいます。
シファソ(Ⅴ7)とドファラ(Ⅳ)の違いを聴きとる練習が必要ですね。
「ドミソ・シファソ・ドミソ」という流れを弾いてみると、誰しも学校などで聴いたことがある「お辞儀」をするときのハーモニーの流れであることが分かるはず。
「 Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ」は「きをつけ・お辞儀・きをつけ」という進行 ですね。
厳密にいうと、お辞儀をするときに弾く右手は「ミソド・ファソシ・ミソド」なのですが、同じ「Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ」というハーモニーの流れです。
なので、 シファソ(Ⅴ7)はお辞儀したくなるハーモニー と考えてみましょう。
では、ドファラ(Ⅳ)はどう聴こえますか?
「ドミソ・ドファラ・ドミソ」という流れを弾いてみると、なんとなく「ドファラ」のところで背伸びしたくなりませんか?
「 Ⅰ・Ⅳ・Ⅰ」は「きをつけ・背伸び・きをつけ」 というイメージをしてみましょう。
「お辞儀」か「背伸び」かが聴きとれると、「シファソ」か「ドファラ」かすんなり分かるはずです。
また問題集を見ると、出題されるハーモニーの順番は3つのパターンがあることが分かります。
- Ⅰ・Ⅳ・Ⅰの2転・Ⅴ7・Ⅰ(上記譜例のもの)
- Ⅰ・Ⅳ・Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ
- Ⅰ・Ⅴ7・Ⅰ・Ⅳ・Ⅴ7・Ⅰ
各調、この3つのパターンで弾けるようになっておけば完璧です!
左手(ベース)の流れ
左手はベースに該当します。聴きとるポイントは、 最初の音から上がっているか(上行形)、下がっているか(下行形) です。
上行形と下行形、どちらも弾いてみると分かると思いますが、 下行形は低い音域まで下がるので「重い感じ」 に聴こえます。
左手の動きは、重い感じに聴こえるか、聴こえないかで判断するといいですよ!
苦手を無くして8級グレード合格を目指そう!
ヤマハピアノグレード8級Bコース、ハーモニー聴奏の出題傾向や練習方法をご紹介しました。
なにはともあれ、18個のカデンツを練習しないことにはダメですね。ヤマをかける…なんてことは考えず、18個すべて満遍なく覚えるまで練習しておきましょう。
苦手を無くして、高得点を目指しましょう!