夏は各地で全国規模の合唱コンクール予選が始まる時期ですね。予選を勝ち抜き、「秋には夢のステージで歌う!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
合唱コンクールにも色々ありますが、その中でも有名なのがNHK主催の「NHK全国学校音楽コンクール」通称「Nコン」ですね。
近年Nコンの課題曲が、やたらpopsの作曲家・歌手頼みになってきているように感じます。
今回はこの件について私の意見をまとめてみたいと思います。
Nコン課題曲はどうしてpops頼みになってしまったの?
近年Nコンの課題曲、その中でも特に中学校の部の課題曲が、pops頼みになっているのをご存知ですか?
どうしてpopsを作曲している人に合唱作品を依頼しているのでしょう?
直近のpops作曲家・歌手による作品
ここ数年のpops作曲家や歌手によって手がけられたNコン中学校の部課題曲を挙げてみましょう。
- 2013年「友~旅立ちの時~」作詞・作曲:北川悠仁(ゆず)
- 2014年「桜の季節」作詞:ATUSHI(EXILE) 作曲:ATUSHI マシコタツロウ
- 2015年「プレゼント」作詞:Saori(SEKAI NO OWARI) 作曲:Nakajin(SEKAI NO OWARI)
- 2016年「結-ゆい-」作詞・作曲:miwa
- 2017年「願いごとの持ち腐れ」作詞:秋元康 作曲:内山栞
こんな感じになっています。
AKB48が歌う「願いごとの持ち腐れ」問題
特に記憶に新しいのが、2017年の課題曲AKB48が歌う「願いごとの持ち腐れ」ですね。
この曲に対しては批判的な意見がたくさん出ました。
指揮者の田久保裕一さん、合唱作曲家としても有名な若松歓さん(「君とみた海」などを作曲しています)がこの曲に対して苦言を呈しています。
また、多くの教育現場や合唱指導者からも批判の声があがりました。
- タイトルに「腐れ」という文字が入っていること
- 曲調がずっと短調であること
- 2017年のテーマが「夢」なのに「夢」が感じられない
- 模範演奏したAKB48の発声が合唱の発声でなかった(2017年3月11日に放送)
NHK東京児童合唱団の合唱↓
AKB48「願いごとの持ち腐れ」ミュージックビデオ↓
3月に放送されたというAKB選抜メンバーによる合唱模範演奏の動画が見つからなかったのですが、そもそも合唱とポップスでは発生の仕方は全く違うので、合唱をやっている人からすれば「え・・・」と思う様な内容だったのでしょう。
なぜ中学校の課題曲だけがpops寄りなの?
批判があるにもかかわらず、なぜ中学校の課題曲がpops寄りなのか私なりに考えてみました。
中学生というと、思春期真っ最中で多感な時期、反抗期でもあります。
その中でいつも聴いている歌手が曲を提供していると分かれば、合唱への親近感がわくし共感を得られるのでは?支持されるのでは? ・・・とNHK側が考えているのではと思います。
現に数年前にアンジェラ・アキの「手紙」や森山直太朗の「虹」が課題曲になり、その後人気になったこともありますよね。
合唱は合唱の作曲家に作曲してもらいたい!
有名人を起用すれば人気が出る、注目度が高まる、楽譜が売れる、CDも売れる・・・というのはよく分かるのですが、普段から合唱を楽しんでいる人ならpops寄りの合唱曲の薄っぺらさが理解できるはず。
昔から合唱を専門に作曲している作曲家の作品には、やはり重み・厚みがありますし、奥深さがあります。各声部の声域を理解した上で、その声部が生きるように作られているのです。
もちろん、コンサートや定期演奏会などの観客を楽しませるステージで演奏するならpopsもいいと思いますし、そこでは思い切り楽しく演奏してほしいです。
でもコンクールの「課題曲」とするなら、やはり合唱の作曲家にお願いするべきなのでは?と感じてしまうのは私だけでしょうか・・・?
まとめ
近年のNコン課題曲、特に中学校の部は迷走しているように感じられます。この辺りで一度、合唱の原点を考えてみては?と思ってしまいます。
来年度の課題曲がどうなるのか・・・注目したいです。
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